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一人用台本 モブ


私は一人のモブだった。
この世界におけるただのモブ

だが、私はこの状況が嫌いなわけではない。

悪の手先と戦う主人公とか
主人公と結ばれるであろうヒロインとか
メインキャラ、サブキャラ

私にとってはそんな役に縛られる人生は価値すらない

あぁ、私は自由なんだ。自由に生きていくのだ。
与えられた役目なんてものはない。

私は世界を見ていたい。
観察していたい。

例え悪役がこの世界を支配してしまっても
主人公が葛藤するさまも
絶望の世界だったとしても
逆に輝かしい世界であっても

私は、観察者であり続けたい。
モブとして、遠くから。

だが、気づいてはいなかった。
そのモブすら、何かに突き動かされ、支配されているということに。

 

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