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私の中には、私がたくさんいた。

怒りを訴えかける私
愛を語り掛けてくる私

ほかにも何人かいるのだが、数えていたらきりがないので。

私はどこにいるのだろうか。本当の私はどこにいるのだろうか。
私にはわからない。

「どうしたのさ」

一人が私に声をかけてきた
別にと返すと

「そっか」

と微笑みながら髪を撫でた。
もちろん実在しないので精神世界でになるが。

そんなことをする彼は、私のことが好きらしい

突然の話だが、本人曰く本当らしい。
私は私が大嫌いだが、彼はその反面私のことが大好き。
信じたくもない話だが、彼は私の真逆な考え方をするため信じざる負えない。

寂しい、悲しいというものを感じず、ただ私という存在で快楽を得ているようだ。
そして、外の世界に一番興味を思っているのも彼だ。

「君が好きだよ」

「知らない」

「なんでさ、俺は君のことがこんなにも好きで愛の告白をしているのに知らないだなんて」

そんな掛け合いを毎日のようにしている。
怒りの彼はそんな彼を怒るのにつかれたみたいで最近顔を出さない

「今目の前にいるのは俺だよ。あいつのこと考えるのは反則じゃないかな」

ふと考えていると突然彼はそういった。
読心術でも使えるのだろうか。
・・・いや、信じたくはないがもう一人の私なのだ。
私の考えることがわかっても不思議ではない。

「俺を、愛してよ」

いつもの、軽くて重い言葉。
それに加えて私は抱き寄せられていた。

「君は俺のこと嫌いだけど、俺は君のこと好きだよ。世界で一番愛してる」

その言葉にぞっとしながら、不思議と悪い気はしなかった。


それは孤独な私にとって、一番欲していた言葉なのだから。

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